日本の身内に不幸があったときに利用できる航空券割引制度(ビリーブメント運賃)について聞いたことはありますか?
あまり使う機会があってほしくないですが、私は2019年この制度を使いましたので、その時の申請の仕方や体験談をご紹介します。
最近は国際結婚をして海外へ移住したり、仕事の関係で海外駐在をしていたり、日本人が海外に住むという機会が多くなりました。
普段はあまり考えないですが、日本に住んでいるあなたの両親や祖父母、兄弟姉妹に不幸が訪れることがいつかあると思います。
<体験談>
カナダに移住して2年後に突然、元気だった父に訪れました。
朝起きて「父が脳出血で危篤状態。今夜が危ない」と母親から連絡があり、すぐに日本行きの航空券を取ろうとしましたが、たまたまゴールデンウィーク中だったので飛行機はどこも満席。取れたのは翌日のフライトでした。
片道、直前の便ということもあり、航空券は旦那と2人合わせて片道40万ほど…
結果的に父は一命を取りとめ、1ヵ月後にカナダへ帰国し、航空券は往復で2人合わせて70万ほどになりました。
父親が回復してくれたのでなによりですが、今回の航空券の高さに旦那と2人で驚愕!
ちょうど日本滞在中にビリーブメント運賃というものがあることを知って、今回使用したエアカナダで申請し、少しですが返金いただきました。
今回は海外在住の方が身内に不幸(危篤・死別・葬儀参列)があり、急遽日本に帰国が必要になった時に航空券の割引が受けられる『ビリーブメント運賃制度』についてまとめました。
自分の体験から申請の仕方、申請に必要な書類などもご紹介します。
海外在住の方はこの制度を頭の片隅に入れとくと、金銭面で少し助かるかもしれません。
【緊急帰国制度】日本の身内に不幸があった時の航空券の割引制度
国をまたいで暮らす親族に不幸が訪れた際、いくつかの航空会社では「緊急帰国制度」として航空券の割引をおこなっています。
その制度をビリーブメント運賃制度とよびます。
Bereavement(ビリーブメント)とは、直訳すると「死別」や「身内に不幸が起こる」 という意味。
航空会社によって「Bereavement Fares」、「Bereavement flights」などと表記されています。
ビリーブメント運賃制度が受けられる航空会社
ビリーブメント制度が利用できる航空会社は、以下の4社になります。(2021年6月現在)
※Webサイトがメインページになってしまう場合は、検索窓で「bereavement」と入力してみてください。
・Delta Airlines(デルタ エアライン)
・Air Canada(エアカナダ)
・Lufthansa(ルフトハンザ航空)
・WestJet(ウエストジェット)
以前は多くの航空会社で提供していたのですが、年々減ってきてるようです。
残念ながらJALやANAなど日本の航空会社は提供していません。
また、ユナイテッド航空ではビリーブメント運賃の提供は2014年に終了したものの、親族の危篤・死別などの理由から返金リクエストをすれば返金される場合があるようです。詳細は航空会社にお問い合わせください。
ビリーブメント運賃制度が受けられる条件は?
実際に私が使用したエアカナダでの条件はこちらになります↓
※条件は大体同じですが、詳細は各航空会社にお問い合わせください。
- 親族が危篤または亡くなった場合
- 出発が予約の10日以内で、滞在が60日を超えない
そして親族の定義は、
エアカナダでは、事前に電話または空港発券カウンターで申し込むか、事後申請(90日以内)が可能です。
ただ、他の航空会社は事前に電話のみのところが多いようです。
ビリーブメント運賃の申請の仕方【エアカナダ】
ビリーブメント運賃の申し込みの仕方、必要書類についてご紹介します。
※ここで紹介するのはエアカナダでの流れになりますので、他の会社を使う場合は各航空会社にお問い合わせください。
エアカナダでは3つの方法で申請することができます。
- 事前に電話で申請する
- 空港発券カウンターで航空券を購入する
- 事後申請
①事前に電話で申請する
ビリーブメント運賃制度を利用して電話で航空券を購入する方法です。
エアカナダのお問合せにある『エア・カナダ予約センター』の電話番号から申請を行います。
その際に以下のことを聞かれるので、答えられるように事前に準備しておきます。
- 親族の名前
- 危篤や亡くなった親族とあなたの関係
- 病院または施設の名前と立会い医師の情報(名前、住所、電話番号) 又は
- 斎場の情報(名前、住所、電話番号)、および葬儀の日時
②空港の発券カウンターで航空券を購入する
空港の発券カウンターでビリーブメント運賃制度を利用して航空券を購入する方法です。
カウンターで購入する際に必要になるものはこちら↓
- 亡くなったことを証明するもの(コピー)
- 親族が危篤状態であることを証明するもの(立会い医師または病院発行の証明書)
ただ、この方法は当日のチケットが取れるか分からないため、個人的にあまりおすすめしません。
③事後申請
通常通りExpediaやHISなどの旅行サイトで航空券を取り、航空券発行日から90日以内に後申請する方法です。
申請する際は、『航空券の払い戻し請求フォーム』に必要事項を記載して、以下のいずれか1点を一緒に提出します。
- 亡くなったことを証明するもの(コピー)
- 検察官または斎場責任者発行の証明書
- 立会い医師/病院発行の証明書(原本またはコピー)
- 自治体発行の亡くなったことを証明する書類
上記はオンラインで申請する方法ですが、郵送でも受け付けています。
詳しくは>エアカナダ公式
90日以内という期限があるので、日本に帰国したときに証明書を発行してもらうとスムーズに手続きが進みます。
【体験談】実際に私がおこなったビリーブメント制度の申請の流れ
私は事後申請を利用しました。
というのも、このビリーブメント制度を知ったのが日本滞在中だったからです。
そして実際におこなった申請の流れは、
- 日本にいる間『立会い医師/病院発行の証明書(原本)』を病院で発行してもらう
- カナダへ帰国
- 『立会い医師/病院発行の証明書(原本)』をスキャン
- 航空券の払い戻し請求フォームに情報を入力
- 『立会い医師/病院発行の証明書(原本)』をフォームに添付してオンライン申請
今回の私のケースは、父が危篤で倒れたので、「危篤であったことを証明するもの」が必要でした。
それが『立会い医師/病院発行の証明書』に当たります。
この流れで申請したところ、数日後にエアカナダの方から審査が通ったとのメールが届き、各航空券につき約3万円の返金をしていただきました。
(往復 × 私と旦那2人分で合計12万円ほどの返金)
申請関連で1つ苦労したのが『立会い医師/病院発行の証明書』の発行…
このビリーブメント運賃制度は、わたしもたまたま知った制度であったし、海外に長年住んでいる方も知らない方が多いのでは…?というほど、一般的にあまり認知されていません。
当然病院の証明書発行窓口や看護師さんに聞いても知っている方がおらず、フォームがないのでどんな証明書を作ればいいのか分からないということでたらい回し…
結局ナースステーションの事務の方に作ってもらうことになったのですが、英語のスペルミスや情報不足やで受け取りに2週間ほどかかりました。
ちなみに、『立会い医師/病院発行の証明書』に必要な情報をエアカナダに問い合わせたところ、以下の情報が英語で書かれていることだそうです。
- 患者情報(名前や生年月日)
- 危篤と判断したということ
- 判断した医者の名前とサイン
- 病院の名前、住所、連絡先
一応、証明書を発行してもらう前に必要事項を航空会社に問い合わせておくのをおすすめします。
証明書発行もそこそこ値段がかかるし、二度手間になってしまうので…
日ごろから突然の不幸にそなえておく
想像もしたくないし、起こってほしくないですが、いつかは訪れるその日のために日ごろからすぐに日本に行けるように準備が必要だなと今回の経験で感じました。
我が家では猫を飼っているのですが、今回たまたま旅行を1週間後に控えていたため、事前にペットホテルと連絡を取り合っていました。
預ける前に必要なワクチンや検便などの準備をしていたのですぐに預けられましたが、預け先を考えていなかったら結構苦労していたと思います。
荷造りや仕事の整理、保険加入、さらにペットのことなど1日以内にすべてを行うのは想像以上に大変です。
日ごろから上記のことを確認して何かあったらすぐに飛んでいける環境を作っておきましょう。
まとめ:海外在住者は緊急帰国制度を頭の片隅に…
今回は、日本の身内に不幸があったときの緊急帰国制度『ビリーブメント運賃』についてご紹介しました。
このような制度を航空会社側でもうけているのは、海外在住者からしたら本当にありがたいですよね。
ワーホリや留学、駐在で海外にいる方は入っている保険に緊急一時帰国用の渡航費がカバーされている場合がありますので、加入の保険会社に確認ください。
この制度、海外在住者は知っておいた方がいいと思うので、まだ知らない方がいたらぜひシェアしてあげてくださいね。
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