翻訳の勉強に役立つ本はどれだろう?
翻訳に関する本はたくさん出版されています。
翻訳を勉強する上でいくつもの本を読み漁りましたが、中には全く役に立たない本もいくつか…
これから翻訳を勉強する方は必読の翻訳者皆が絶賛する、おすすめの翻訳本を5選ご紹介します。
それに加えて、わたしが医薬翻訳者でもあるため、
医薬翻訳の勉強におすすめの本も2冊合わせてご紹介いたしますね(^^♪
ちなみに本記事は日英・英日翻訳者になりたい方向けです!
翻訳者を目指している方はこちらも参考になります↓
翻訳の勉強におすすめの本5選!
翻訳の勉強を始めたばかりの初心者向けにおすすめの本を5冊厳選してみました。
- 英語の発想
- 英文翻訳術
- 日本人なら必ず誤訳する英文
- 英文法解説
- 通訳翻訳ジャーナル
「英語の発想」 安西徹雄(筑摩書房 2000年)
翻訳の勉強を始める上でまず読んでおきたいのが「英語の発想」。
英語では「名詞」中心であるのに対して
日本語は「動詞」中心で作られている
この英語と日本語の発想の違いについて深堀されていて、なかなか面白い本です。
一見翻訳の勉強には直結しなさそうですが、根本的な発想の転換を知ることで、
ぎこちない直訳調になってしまいがちの文章を、より自然な日本語らしい文章に翻訳するコツや感覚が身につきます。
文庫本でそんなに量もないので、翻訳の勉強を始めたころにスラッと読んでおきたい1冊。
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英語を書くときに主語をどうしたら良いのか、しばらく悩んでおりました。何かそこに日本語と英語の大きな発想の違いがあるように感じておりました。何冊か関連する本を読んだ結果、状況⇔因果、動詞⇔名詞、節⇔句、こと⇔ものようなものを漠然と感じておりました。
本書は、翻訳読本という形で、実例を挙げて詳解してくれるています。日本語の「AがXであれば、BがYになる」に対して、英語の「XであるAが、BをYにする」というのがよくわかりました。
「英語の発想」とのタイトルですが、同時に日本語の奥深さについても新たな視点を与えて頂きました。感謝!
Amazonレビューより
あまり言語学系の本て読まないんですが、やっぱり読むとすごく面白い。翻訳に役立ちそうなことも多い。名詞構文を日本語にどう訳していくか。日本語が「こと」的なのは前提として、そこからさらに、「述語中心」かつ「情況と話者の距離」、「受動態における英語/日本語の親和性」といった発想へと展開していくあたり、目から鱗だった。それにしても、いま別の本を訳しながら思うことは、翻訳ってなんて楽しい作業なのだろう、ということ。ただ、同時にその難しさもひしひしと感じている・・・。
読書メーターより
「英文翻訳術」 安西徹雄(ちくま学芸文庫 1995年)
先ほど紹介した「英語の発想」と同じ著者によって書かれた「英文翻訳術」。
「英語の発想」の後によむのがおすすめ。多くの翻訳者が絶賛するとても濃い1冊になっています。
名詞、代名詞、形容詞、副詞、動詞、話法、接続詞の項目ごとに
直訳から翻訳へ
の翻訳ノウハウが学べる本です。
それぞれの項目の流れは、
例題
↓
例題に対する一般的な受講生の訳
↓
その訳が適訳でない理由
↓
適切な訳
↓
読み方・訳し方のテクニック
となっており、章の最後でまとめとして「練習問題」が掲載されています。
テキストみたいな構成ですが、その場で講義を受けているような感覚で
読み物としてスラスラ読めるため頭に入ってきやすいのも特徴。
少し例文が難しいものの、何度も読むことで自然な訳が作りやすくなります。
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文庫本という小型のサイズながら翻訳のやり方が細かく書いてあり、おかげで自分の英語翻訳学習が活性化しました。誰もが引っ掛かりやすい、文法と文章が問題として載っていて、誤訳も含む訳し方が詳細に解説されていました。読み進めていくと、今まで気が付かなかった翻訳方法について知ることができ、目から鱗が落ちるような感じです。英文に込められている思いを訳出することが重要だということを、改めて認識しました。翻訳に興味がある方にお勧めの1冊です。
Amazonレビューより
安西先生の『英語の発想』を読んでからの本書なので、前者を踏まえての実践編という印象を持った。したがって書いてあるエッセンスは発想の方と同じ。実際に翻訳してみるとぶつかる壁を、より細かく解説してくれている。なにより、各項の最後にある先生の翻訳例が美しい。元から日本語で書かれた文章のよう。だから翻訳としてだけでなく言葉の勉強になる。モノ書きを志している人は一度読んでみるといい一冊だと思う。
読書メーターより
「日本人なら必ず誤訳する英文」 越前敏弥(ディスカバー叢書 2009年)
「日本人なら必ず誤訳する英文」は、著者が長年にわたって予備校や翻訳学校で日本人が必ず誤訳する英文の例をまとめた1冊になります。
ちなみに、著者はベストセラー『ダ・ヴィンチ・コード』などを翻訳した人気翻訳家。
本の構成は、
問題5~6題
↓
答え&解説
と簡単なテスト形式で受験勉強やTOEICの勉強本を彷彿させますが、内容はかなり難しい!
英文解釈にある程度自信がある人でも
1割解けないんじゃないかな?というほど!
翻訳家になるために必要な英語を正しく読む力はこれ一冊で結構鍛えられます。
翻訳者としての致命的なミスである誤訳を防ぐためにも
何度も繰り返し読んで、この本にあるものは押さえておきたいところです。
ちなみに「日本人なら必ず誤訳する英文」は、Kindle Unlimited(月額980円)の読み放題の対象になっています。
1冊1100円するので買うよりお得(^^♪
Kindle Unlimitedについては、別記事「Kindle Unlimitedは月額980円の価値はあるのかメリット・デメリットをまとめてみた」でまとめています。
▼口コミはこちら▼
自分の英文の理解力で足りない所がよく分かりました。
誤読するのが多いのはこんなところでした。
1) 見慣れた単語を違う意味で捉えないといけない(例 grave: 重大な、an additional helping: おかわり)
2) カンマの位置による意味の違い
3) 否定形(例 not in the least: 全く~ない, not least: とりわけ)
4) 不定詞・動名詞(例 forgot to lend: 貸し忘れた、forgot lending: 貸したことを忘れた、stop to think: 考えるために立ち止まる、stop thinking: 考えるのを止める)
5) 倒置文(強調、否定など)この本は、ある程度英語の学習が進んだ人(ある程度英文法の理解がある人)でないと、感覚的なところも含めて内容を解釈くするのが難しいかもしてません。
英語中級以上(ざっくり英検2級以上?)の人には良い本だと思います。
Amazonレビューより
割と英文解釈には自信があったのですが、その自信をたたき折られました。最後の難問編からは紙に書き写して品詞分解して臨んだのですが、なかなか完答できませんでした。特に、否定の省略については、ずいぶんしごかれて、大分できるようになってきました。楽しく読ませていただいたので、自分も翻訳業意外と向いてるのかも?と思う一冊でした。もちろん、もっと英語能力を向上させなければなりませんが…
読書メーターより
「英文法解説」 江川泰一郎(金子書房 1991年)
カバーはダサいですが、「英文法解説」は翻訳の勉強初心者なら必須の文法書。
数多くある文法書の中でこの本がおすすめの理由は、
情報量と例示の多さ!!
文法で疑問に感じるところが網羅されています。
500ページ以上あるので、初めのページから読んでいくというより、
辞書的な扱いとして1冊あれば安心という感じです。
- 苦手な文法項目を読み込むのもOK!
- 暇なときにパラパラ読むのもOK!
翻訳していてよく意味が分からない文章があったらこの文法書を見直してみると新たな気づきがあるかもしれません。
▼口コミはこちら▼
本書は大学受験を志す受験生のみならず、翻訳家、研究者といった英語を専門的に扱う必要がある「プロ」も充分に使用できる一冊だと思います。
大学院生の私も研究を進める際に英文和訳をしなければならないことが多いのですが、本書で文法のいろはを学んでからは翻訳作業がかなり捗るようになり、大変感謝しています。
Amazonレビューより
何度目かの読了です。英文法の参考書としてはこの本を含め新自修英文典、ロイヤル英文法、現代英文法講義などすべて結構いい本なのですが、どうして通読するには向いていないのでしょうか?英文法のこれらの参考書は不明な点があったら調べるという使い方に向いている気がします。まあその中でもこの本の文例は非常に優れていると思いました。
読書メーターより
「通訳翻訳ジャーナル」 雑誌(イカロス出版)
これは翻訳の勉強というより、翻訳者という仕事の情報が得られる雑誌。
- 翻訳者の年収
- 働き方
- 産業翻訳者の分野
- 翻訳会社一覧
- 翻訳者におすすめの電子辞書やツール
など翻訳者になりたいと思っている方が疑問に思うことが詰まっています。
本誌では、毎回翻訳コンテストが開催されているので、
自分の翻訳力を試したり、他の方の訳やそれに対するプロの添削もみれるため勉強にもおすすめです。
また、翻訳会社の一覧も載っているので、のちに翻訳会社のトライアルを受けたいときにも役立ちますよ!
翻訳を目指し始めたばかりの人は情報収集という面で活用してみてくださいね^^
バックナンバーも購入することができます⇒こちら
医薬翻訳の勉強におすすめの本2選!
翻訳者にも、法律や医薬、特許など色々分野がありますが、わたしが医薬翻訳者として活動していることもあり、
医薬翻訳者を目指していた初期のころに役に立った本を2冊ご紹介します。
- まずはこれから!医薬翻訳者のための英語
- メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック
「まずはこれから!医薬翻訳者のための英語」(イカロス出版 2011年)
「まずはこれから!医薬翻訳者のための英語」は、医薬翻訳者になろうと決めたら必ず持っておきたい1冊!
薬理学
薬の投与
抗生物質・感染症
遺伝子
免疫
動物実験
臨床試験
統計解析
など項目ごとに医薬関連文書でよく使われるフレーズや単語が詰まった言わば用語集的な役割の本です。
見たことがある簡単な単語でも、医薬・治験関連の文書では決まり文句として表現する単語やフレーズがあります。
例えば、「investigator」は通常訳すと
「研究者」や「調査者」
となりますが、治験関連文書だと
「治験責任医師」
と訳されます。
この本では英語と日本語訳+その意味まで詳しく説明されているので、
医薬翻訳を勉強し始めた初心者は端から端まで熟読することをおすすめします!
ただビギナー向けのため、医薬関連の企業で働いている人には物足りなく感じる本かも…
▼口コミはこちら▼
文系から医薬翻訳を目指す場合、何から手を付けたらよいのか迷うことも多いと思います。旧版(『医薬の英語』)も持っていますが、改訂版も購入。
全11章からなり、構成に大きな変化はないのですが、各章のはじめに、「学習のPOINT」が書かれており、勉強の進め方や有益な情報もあります。巻末には「医薬翻訳の仕事と学び方」が15ページほど書かれています。
旧版と変わったところは、版型がやや大きくなり、青字を使った二色刷りとなって、見やすくなっています。
本編の方は「用語集」というか、初学者のための「用語解説」となるような説明が成されていて、このような基本書はなかなか見つかりません。
読む用語集(解説)として、好きなところから読んでみると、医薬翻訳に自分が適しているかどうかも判断がつくのではないでしょうか。
Amazonレビューより
ただ、タイトルはちょっと、誤解を招きかねないので穏当なものの方がよかったと思います。
「メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック」(イカロス出版 2018年)
「メディカル翻訳・通訳 完全ガイドブック」は、通訳翻訳ジャーナル誌の特別号として作られたメディカル翻訳・通訳の分野に特化した雑誌。
- メディカル翻訳者・通訳者の年収
- 働き方
- メディカル分野
- スキルアップの方法
- 翻訳学校の情報
などの基礎知識がまとまっています。
医薬翻訳の道へ進みたい人は1度読んでおくとメディカル業界の概要が学べますよ!
▼口コミはこちら▼
すでに翻訳の仕事をしていますが、スキルアップの参考に購入。各種講座や実力試験がわかりやすくまとめられています。
また翻訳・通訳会社の一覧には自分で検索しただけでは探しきれない数が網羅されており、仕事を探すうえでも必携だと思います。
Amazonレビューより
翻訳を独学で勉強するのは限度がある…
ここまで翻訳の勉強におすすめの本を紹介してきました。
ただ、本や参考書から独学で翻訳を学ぶのは限度があり、どこをどう勉強していいのか分からなくなる時がいつか来ます。
今勉強しているのが果たして翻訳者になるために必要なことなのか、遠回りしてるんじゃないかと思ったことが時々あったよ
もし、独学でどう翻訳の勉強をすればいいのか分からないなら、ただ闇雲に勉強するのではなく、翻訳スクールに通うのが近道です。
おすすめは、わたしも通った大手の翻訳専門校フェロー・アカデミー。
フェロー・アカデミーでは、翻訳に必要な英語の基礎から実務の専門分野まで自分のレベルに合わせて講座を選ぶことができます。
どんな講座があるのか、受講料などが載ってる電子パンフレットが無料でもらえますので、気になる方は資料請求してみてくださいね!
\老舗の翻訳スクール/
オンライン講座あり!海外からの受講OK!
おすすめの翻訳スクールは別記事にもまとめています。
まとめ:翻訳の勉強の基礎は本で学ぼう!
今回は、日英・英日翻訳の勉強を始めたばかりの初心者向けに、おすすめの本を5選と医薬翻訳者を目指している方向けに追加で2冊ご紹介しました。
翻訳に関する本は数多くありますが、今回紹介した本はどれも現役翻訳者が必ず持っている(読んだ)良書ばかりです。
翻訳の道に進みたいと思ったらぜひ一読し、プロの翻訳者へ一歩進んでみましょう。
\老舗の翻訳専門校/
\大手翻訳者ネットワーク/
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